哲学講義

仇櫻堂日乗

【まえがき】会社勤めの傍ら、趣味で文章を書いています。私の日常での出来事や考えたことに加えて、読んだ本、鑑賞した美術などの展示、コンサートや能楽公演の感想、それに小説などの作文を載せます。PC表示ですとサイドバーに、スマホ表示ですと、おそらくフッターに、検索窓やカテゴリー一覧(目次)が表示されますので、そちらからご関心のある記事を読んでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

2021年2月の徒然なること

■2021年2月の徒然なること

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ーALCA DELI.ー
門司港名物焼きカレー千駄ヶ谷


 さあ今月もやってまいりました、貴方と私の徒然タイムです。

●もしも偉人が旅したら ~行き先は室町時代⁉~ のこと @宝生能楽堂「三輪」他

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 宝生能楽堂にて、「もしも偉人が旅したら〜旅先は室町時代!?〜」を拝見した。1時間強の短時間で日本文化に親しめる内容で、とても良かった。

 普通、能楽堂の見所を完全に暗転させることは少ないが、開演と同時に真っ暗になり、地謡座後方にプロジェクターで、世阿弥・信長・ザビエルのzoomのような会話が映し出され、新型コロナウイルス感染症の影響で、自由に旅行のできない現代を生きる信長とザビエルが、世阿弥の時代である室町時代を旅することになる。元々、室町時代の人である世阿弥は、二人と一緒にいるところを見られるといけないので、同行できないのだそう。設定が細かい。

 web会議が終わり、ライトアップされた橋掛りに二人が登場し、天の声と掛け合いが始まると、ここが時間旅行ができる能舞台という設定だとわかる。ディズニーランドのアトラクションにいる感じの臨場感があり、わくわくする。

 その後二人は、旅のしおりをもらい、茶道のお点前を体験し、箪笥用の匂い袋をお土産にもらったり、水墨画家とお話をしたりして、最後は舞台からはけて、能「三輪」の一部(装束・作り物あり、四拍子あり、ワキ方なし、後場の途中から)を、観客と一緒に見る、という内容。しおりと匂い袋は観客もお土産に頂戴した。

 三輪明神(女神)は黄色の長絹に橙色の袴等で、なんとなく「麒麟がくる」の染谷将太の信長っぽい配色である。「三輪」という演目自体は動きが少なく、失礼ながらうとうとしながら見ていたけど、おかげでものすごくスッキリしたし、このくらいのボリューム感だと、簡単に日本文化に触れるにはちょうどよいなと、大変楽しめる内容であった。 

織田信長役:山本大介、ザビエル役:神田初音ファレル、世阿弥役:若尾颯太、ナレーター役:吉見茉莉奈、茶道家出演者:裏千家 長谷川宗周、現代水墨画家:山岸千穂、能楽シテ方宝生流 武田伊左、演出:植村真、脚本・企画:飯田有佳子

●趣味:webラジオのこと

 私はラジオというものを、ほとんど聞いたことがない。

 テレビが普及する前、つまり私にとっては自身の親が子どもであった頃よりさらに昔の話になるのだが、ラジオは力を持っていたそうであり、またラジオが多数派の支持を失った現在においても、耳だけで楽しめることや、テレビとは番組内容が異なること、等を評価し、ラジオを好む人が一定数いることは知っている。それでも私はラジオが主要な娯楽ではない時代に生まれ、そうしたラジオに馴染まない多数派の一人として生きてきたのだ。

 そもそも、時間を合わせてラジオをつける、ということができない。かと言って、毎週録音する程のことでもないというか、そもそもラジオに触れる機会がない人間には、それだけの価値のある番組に出会えない。

 状況が変わったのは、ここ最近であろう。日本中がwebでつながるようになった。いわゆるラジオと言われて想定されるキー局の、新聞のラジオ番に載っているようなものだけでなく、地域限定で放送しているラジオ局の番組も、webを通して、しかもリアルタイムだけでなくアーカイブとしても、聞くことができ、webの中だけで配信されている(つまり音声だけの配信のことをラジオと呼ぶならだが)ものもある。

 そんな中で、私は聞きたいときに、大抵は何かしながら、聞くことができる、webラジオの良さに気づいた。洗い物をしながら、ヨガをしながら、布団で目を瞑りながら。目を使わないというラジオの特性は、ながら、ととても親和性が高い。私が好んで聞いているラジオ番組三選を以下に記す。

虫眼鏡の放送部 (Youtube

 愛知県岡崎市を中心に活動する、6人組グループYouTuber「東海オンエア」のメンバーである虫眼鏡さんの個人チャンネル。同グループでは各メンバーがYouTube上に個人チャンネルを持っていて、それぞれに特色ある活動をしているが、虫眼鏡さんがやっているのが週に一度、視聴者からのおたより(メール・Twitter)に答える、顔出しはしない、(YouTuberのぶんけいさんが出演された回はあるが)ゲストも基本的には呼ばない、というスタイルのもの。

 恋愛相談と下ネタが多い。私は東海オンエアというグループも好きだし、それプラス虫眼鏡さんの丁寧なトーク、面白いおたよりと、明るい気分になれる番組である。 

佐藤まな【おやすみラジオ】 (Youtube

 上記、虫眼鏡の放送部に憧れてYouTubeでのラジオ配信を始めたということから、構成は似通っている。基本的にはフリートークや音楽をはさみつつ、おたよりに回答していく、という中身。

 番組の名前の通り、聞きながら寝落ちしてください、という趣旨なのだろう。私はそのように使っている。上記、虫眼鏡の放送部はきちんと聞きたい気持ちもあったし、虫眼鏡さんへのおたよりに寝落ちラジオとして使っているようなコメントもあったが、男の私が男の声を聞きながら眠りにつくってどうなん、という思いもあり……。またspoonやRECといった別のプラットフォームを知りつつも、あまりアプリやアカウントを増やしたくないので、YouTubeなど普段自分が使っている世界の中で、声のきれいな女性のラジオ番組を、と探して見つけたのがこちら。

 声質、トーン、間のとり方、全てが癒やされるため、とても気持ちよく寝落ちできる。故にであるが、惜しむらくは、何を話しているかよく覚えていない点である。

渋谷で読書会 (note)

 東京・赤坂にある書店、双子のライオン堂の店主竹田さんがパーソナリティを務め、渋谷の地域限定のラジオである、渋谷のラジオで配信され、遅れてnoteにてアーカイブ配信されている、番組である。

 名前の通りラジオ上で読書会をやるコーナーがある。毎月一冊課題の短編(宮沢賢治の「やまなし」やチェーホフの「ねむい」等々)があり、大抵は青空文庫で無料で読めるので、読んで感想を送ると、今のところ100%取り上げてくれて嬉しい。今まで読んでいなかった、純文学の名作短編にチャレンジする、とても良い機会となっている。

 また毎回ゲストとして、本屋さんやライターさんが相棒となり、竹田さんと今読んでいる本や、気になる本屋さんの話をする。自分の知らない本と本屋さんの世界が無限に広がっていることを、毎週痛感して、そわそわする。

●絵画等のこと3.01「ブラチスラバ世界絵本原画展 こんにちは!チェコスロバキアの新しい絵本」@千葉市美術館

 千葉市美術館に「田中一村展 千葉市美術館収蔵全作品」を見に行ったところ、同時開催で恒例の展示である、「ブラチスラバ世界絵本原画展 こんにちは!チェコとスロバキアの新しい絵本」が期待以上。

 ちなみに田中一村千葉市でにも20年以上居住した後、退路を断って奄美に移住した画家。代表作である「アダンの海辺」が、リアルに波の音が聞こえそうでよいのだ。

 そして、上記2つとは関係がないが、さや堂ホールの千葉市デジタルミュージアム(無料)で、思わずはしゃいでしまった。

●「ブラチスラバ世界絵本原画展」で気になった作品たち

  • バルボラ・キシコヴァー『なくなった矢』
  • アンドレア・タヘジ『226番地の家』
  • マルティナ・シビンコヴァー『ひみつ』
  • スヴェトザール・コシツキー『ホチの山々には必ずなにかがある』
  • 島野雫『おなかのなかで』『うずらかあさんとたまご』
  • たむらしげる『よるのおと』
  • みやこしあきこ『ぼくのたび』
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