哲学講義

仇櫻堂日乗

【まえがき】会社勤めの傍ら、趣味で文章を書いています。私の日常での出来事や考えたことに加えて、読んだ本、鑑賞した美術などの展示、コンサートや能楽公演の感想、それに小説などの作文を載せます。PC表示ですとサイドバーに、スマホ表示ですと、おそらくフッターに、検索窓やカテゴリー一覧(目次)が表示されますので、そちらからご関心のある記事を読んでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

人生の折れ線グラフ(2021年5月ver)のこと

■人生の折れ線グラフ(2021年5月ver)のこと

 YoutubeチャンネルのたっくーTVれいでぃおさんにて、「人生の折れ線グラフを書いて下さい。」という動画が、2020年6月5日に公開された。  


人生の折れ線グラフを書いて下さい。

 動画の内容は、自分の各年齢での折れ線グラフを書いてみて、同じものを一年後に書いてみたら、全く違う折れ線グラフになるのではないか、というもの。この折れ線の基準というのも、幸福度であったり金銭であったり、これと決めずに自由に書いてみよう、とのことである。
 そして動画で興味を持って、私も折れ線グラフを書いてみたのが2020年6月14日に公開した「人生の折れ線グラフのこと」である。基準としては各年齢での楽しさであったり、充実度みたいなイメージで書いている。そしてたっくーさんのお言葉通り、約一年がたったこの度、久々に折れ線グラフを書いてみたので、その変化等を考察し、味わいたい。

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 ひとまず、上のグラフを大まかに眺めていただきたい。ピンクが2020年6月、緑が2021年5月の作図である。これを見ると一年前と大きな変化はない、というのが結論である。もちろんその折れ線はほとんど重なっていないが、全体的に一年前より数値が下がっただけで、どこが山でどこが谷か、という認識はほとんど変わっていない。

 では詳しく見ていこう。山と谷の認識が一年前と変化しているのは➊19歳、➋22歳そして、➌31歳であるので、そこを中心に説明し、➍その他において総括したい。

➊19歳のこと

 19歳は私が大学二年生のことである。その後の大学三年生が大学一年生の頃より高く(充実してい)て、大学四年生になると落ちるというのは同じである。私の学生時代のアルバイト先は、チェーンの新刊書店のある支店で、ちょうど四年生になる前に私の勤めていた店舗が撤退してしまい、また数年に一度訪れる人間関係が億劫になる時期で乗馬サークルとも距離を置いており、就活と卒業制作をだらだらとしていただけで、大学四年生の頃は暇だったのである。

 さて、問題の二年生について、落ちずにスムーズに大一、大二、大三と上昇したと判断したのが2020年で、大二で一度谷ができると判断したのが2021年である。はっきり言ってこの差異は、微妙である。順調だったよう(2020年)でもあり、文学部に所属して二年、乗馬サークルに入って二年、アルバイトを始めて二年、すべてが二年目ということでマンネリ感があったよう(2021年)でもありという、誤差の範囲である。

➋22歳のこと

 その後の社会人一年目にあたる22歳を、大四から社一で一度上がってから、社二でジェットコースターのように落ちると考えたのが2020年。対して大四、社一、社二と落ち続けると考えたのが2021年である。

 この当時、私は都内にある小売業の会社に勤めて、販売員をしていた。職場に馴染めずに出勤できなくなったのが23歳、そこで落ちるのは当然として、その前の年が大学時代と比べてどうであったか。これはその社会人一年目を、多少は新しい環境で新しい人と出会って楽しみがあった(2020年)と考えるか、そもそも社会人二年目に職場を去る前の社会人一年目から会社に馴染んでなかったのだ(2021年)と考えるか。やはり誤差であるが、➊、➋から、2020年の私の方が2021年の私より、若かりし10年前の自分のことをポジティブに捉えているとは言えそうである。

➌31歳のこと

 より大きな変化は31歳、つまり2020年についての評価であろう。2020年の私は、その年の6月時点で2020年の数値を決めている。2020年の前半はご存知の通り、新型コロナウイルス感染症が一気に広がり、先行き不透明な時期であった。5月の末にようやく緊急事態宣言が解除され、ほぼ2ヶ月間の在宅勤務から通常出勤に戻り、心身ともに疲弊していた私は、うつ状態で仕事を休職する直前の27歳頃と同程度の低い数値を打った。

 それから2020年の後半は新しい生活様式という名のもとに自粛生活が続き、コロナ以前のように色々な所に出かけるという楽しみは少なくなってしまったが、籠る間に自分を見つめなおすことで、趣味として書店 仇櫻堂の活動を始める等、新しい楽しみを見つけることができた。そのため、私の人生にとって大切なターニングポイントの年になったと、今(2021年5月)は思っている。だからこそ、これだけポジティブな評価に変わったのだ。

➍その他のこと

 そしてそれに続く32歳、2021年について、まだ5ヶ月分しかすごしていない私であるが、31歳よりもさらに高い数値をつけた。2021年5月verの折れ線グラフの中で、最も高い山が2021年である。人生の中で今が一番楽しく充実している、ということである。一方で2020年の折れ線グラフは、28歳の頃が最高峰である。これは私がうつ状態で休職して、リワークに通いながら職場復帰の訓練をしていた時期である。この時期に私は自分を知り新しい考え方を学んで、ずっと人生が生きやすくなったし、同じ悩みを抱えた多くの人と出会い、話し合うことはとても良い経験となった。2021年の私にとっては、そんな気づきの多い28歳の頃以上に、刺激的で充実しているのが、32歳の今なのである。

 もう一つ、この休職の直前の27歳を、23歳時にあった小売店からの退職よりも、ポジティブに捉える(2020年)か、ネガティブに捉える(2021年)か、という折れ線グラフの変化がある。確かに全く無職となった23歳より、仕事をしながら調子を崩して休むことになった27歳のほうが、まだ充実はしていたかもしれない(2020年)。しかし不調をきたしながらも仕事に向かっていった23歳よりも、仕事にまるで楽しさを見いだせずに感情を失っていた27歳のほうが暗黒であると、2021年の私は判断したのだ。

 そしてそれに次ぐ28歳の時期も、2020年の私が人生の最高峰にあげたのに対して、2021年の私にとってはそこまで輝かしい評価は与えなかった。それはひとえに、今が良くなったからである。リワークという空間の中でした良い経験を、やっと今、外の世界でも活用できてきている。様々なことにチャレンジし、仲間を見つけることができている。

 今が良い、その気づきを得られたことが、一年越しで人生の折れ線グラフを書き比較した、私の結論である。

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