哲学講義

仇櫻堂日乗

【まえがき】会社勤めの傍ら、趣味で文章を書いています。私の日常での出来事や考えたことに加えて、読んだ本、鑑賞した美術などの展示、コンサートや能楽公演の感想、それに小説などの作文を載せます。PC表示ですとサイドバーに、スマホ表示ですと、おそらくフッターに、検索窓やカテゴリー一覧(目次)が表示されますので、そちらからご関心のある記事を読んでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

2021年の競馬予想のこと

■2021年の競馬予想のこと 

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2021年10月23日 御殿場カルチャーファームにて

●競馬好きであるために

 馬が好きであることは間違いがない。しかし馬が好きなら競馬もやるんでしょう、と言われると、少し戸惑ってしまう。競馬はかなり昔から、観てはいる。忙しい時期が重なり、ほとんど動向を追えていない年もあったが、20年以上前(つまり馬券の購入ができない未成年の頃)から、全く競馬に触れなかったという年はない(少なくとも年末の有馬記念をテレビで観る程度のことはしているはずである)。

 毎週毎週、規則正しくレースの結果を予想し、所持金を賭け、清く正しく競馬に挑む。そんな勤勉さは私にはない。そんな大金で遊ぶような度胸もない。そもそも(馬は好きだし競走している馬はかっこよいと思うが、そこに)勝馬投票券の存在がどれほど必要か、疑問に感じている(しかし、ギャンブルだからこそ、これだけ多くの人が競馬に惹きつけられて興行として成り立つのだろう、ということは理解している)。

 私は競馬好きなのか。競馬ファンなのか。そう聞かれると答えに困ってしまう。

 以下はそんな私の2021年の競馬の記録である。

●2021年の競馬予想のこと

 気になった重賞(一部リステッド)競走について勝馬を予想して、各レース単勝(指名した馬が1着になれば配当金がもらえる)に100円だけ賭け続けた体で、その仮想収支がどうなるのか記録した結果である。

  • 予想したレース:41レース
  • 的中したレース:6レース

 的中率が14.6%である。

  • 支出:4,100円
  • 収入:2,390円
  • 収支:▲1,810円

 回収率は58.3%である。

 指名した回数が多い馬は、なかなか勝ちきれないカレンブーケドールと、成績の安定しない快速娘メイケイエールの各3回であった。

 ご覧になって分かる通り、3月末の毎日杯及び日経賞から、12月頭のチャンピオンズCまで丸8か月的中がなかった。そこそこ真面目に予想して、さほど穴をねらったわけでもないのにここまで当たらないのは、逆にすごい。

 予想した41レースの中では、エフフォーリア(年度代表馬)の3勝が最多勝。結局2021年はエフフォーリアと横山武史の年であったと思う。彼が勝利した3レースではそれぞれ、4着のアドマイヤハダル、12着のカレンブーケドール、2着のディープボンドを指名していた。

 だからどうしたというデータであるが、指名した馬の平均人気は3.9番人気、平均着順は6.3着、予想したレースの勝馬の平均人気は3.4番人気であった。つまり、私が指名した馬は人気よりも順位を落としていることが多い、ということを示している。

●そしてこれからも……

 競馬史の中で私がもっともよく覚えているのが、2001年の香港国際競走である。20年前のことだ。リアルタイムで観戦していたわけではなく、たしか翌日のスポーツ新聞で結果を知った。あのステイゴールドの感動のラストランとなった香港ヴァーズをはじめ、アグネスデジタルが香港Cを、エイシンプレストン香港マイルを制した。

 国内では前年の絶対王者テイエムオペラオーがついに宝塚記念で宿敵メイショウドトウに敗れ、秋にはジャパンCを同年のダービー馬ジャングルポケットが、有馬記念を同年の菊花賞マンハッタンカフェが制す等、3歳馬が活躍し世代交代を強く印象づける年でもあった。

 競馬を観始めて2〜3年の私にとってはとてもドラマチックな一年であり、そのハイライトがこの香港国際競走の一日だったのである。それ以降の競馬を思い浮かべると、これほどドラマチックであった一コマがあっただろうか。

 2005年の有馬記念で同年の三冠馬ディープインパクトが、伏兵ハーツクライを捉えられずに敗戦した。何故か彼については、有馬記念凱旋門賞、破れたレースこそが記憶に残っている。その有馬記念で私が応援していたのが4着のコスモバルク。翌2006年、シンガポール航空国際C(エアラインズC)を地方競馬所属のまま、コスモバルク五十嵐冬樹が制したときは嬉しかった。私は北海道の地からダイワメジャーキングカメハメハといった中央の名馬たちに挑み続けた彼が大好きだった。2008年、ウオッカダイワスカーレットの競馬史に残る一騎打ちとなった天皇賞秋は私が大学2年生のことだ。サークルで出かけた帰り、高速のサービスエリアで先輩のワンセグ携帯で観たことを、よく覚えている。

 その後もたくさんの名馬、名勝負があったのだろう、社会に出て忙しくなったのか、競馬への関心がなくなったのか、競馬を観る機会も減っていったし、何より競馬をドラマとして観ることが苦手になったように思う。

 2021年、ブリーダーズCディスタフをマルシュロレーヌが、ブリーダーズCフィリー&メアターフをラヴズオンリーユーが制した。アメリカの一大イベントである、ブリーダーズCを日本調教馬が制する(しかも同日に複数制する)快挙など、20年前は想像もできなかった。香港国際競走では、香港ヴァーズをグローリーヴェイズが、香港Cをラヴズオンリーユーが制し、ラヴズオンリーユーは同じ香港で春に行われるQEⅡ世Cと合わせて、海外GIを3勝したことになる。日本調教馬が海外で勝利することはもはや、快挙でもなんでもなくなった。国内では前年の三冠馬コントレイルはジャパンCをなんとか物にしたが、主役は皐月賞天皇賞秋・有馬記念のエフフォーリアと若き横山武史であった。

 こうして振り返ってみても字面、数字としては思い出せるのだけれど、そこに物語が湧いてこない。原因は競馬ではなく私の方にある、多分。そしてそのこと自体が別に悪いことではないのだけれど、昔の方が競馬を観ていて楽しかったのは事実である。昔の競馬は良かった等という、老人のようなことは言わない。けれど昔の私の方が良かった、競馬を面白がる才能なのか、余力なのか、そうしたエネルギーは確実に昔の私の方が有していたのである。twitter.com

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