哲学講義

仇櫻堂日乗

【まえがき】会社勤めの傍ら、趣味で文章を書いています。私の日常での出来事や考えたことに加えて、読んだ本、鑑賞した美術などの展示、コンサートや能楽公演の感想、それに小説などの作文を載せます。PC表示ですとサイドバーに、スマホ表示ですと、おそらくフッターに、検索窓やカテゴリー一覧(目次)が表示されますので、そちらからご関心のある記事を読んでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

2022年6月の読書のこと「しししし4 特集 中原中也」

■しししし4 特集 中原中也(双子のライオン堂)のこと

20211215_しししし4

 ものすごく色々な所で訴えているのだけれど、本を読む暇がない。私は片道1時間かけて自宅のある千葉県から都内の職場に通っていて、これまではその一日2時間の通勤時間は格好の読書時間だったのだけれど、このところ(今年の2月頃から)降ってくる仕事の量が増えており、しかも段々と職場のリモートワークのシステムが整ってき(てしまっ)たことで、職場のノートPCを持ち帰って作業することができるようになっ(てしまっ)たため、ついつい通勤電車内でも作業をしてしまい、とにかく読書時間が確保しにくくなっているのである(そんなことを先日、別の方がTweetなさっていて、大いに共感した次第である)。

 以前にも書いたかもしれないけれど、それに加えて本ブログ(哲学講義)とnote(仇櫻堂)は定期更新、不定期だがInstagramでは食物写真の投稿も行なっており、そうした(頼まれてもいない)文筆をこなしていくとなおさら本を読む時間などとれない。もうそろそろ、そうした趣味についても見直さなければならない……、等と書いているところ、ふと眠気を感じて目を閉じたら、あっという間に30分が過ぎており、このところのお気に入りの喫茶店のアイス抹茶ラテの氷が溶けて薄くなっていた。梅雨明け前ということが信じられない猛暑の中、喫茶店の冷房が心地よい。私は疲れている、改めて認識する。

shishishishi.liondo.jp

●総論

 本屋発の文芸誌である『しししし』は東京・赤坂の書店、双子のライオン堂から年に1回刊行されている。昨年2021年11月に刊行された第4号の特集は詩人の中原中也、ちなみにそれ以前の3冊では、宮沢賢治ドストエフスキーサリンジャーの特集であった。どれも購入して家にあるのだけれど、読み切っていない。

 文芸誌、というか雑誌というものを私は苦手にしている。どこからどう読めば良いのかわからない。個性豊かで豪華な執筆陣になればなるほど、各記事の世界観は異なるから、記事から記事へ乗り移るのに体力と思いきりが必要となる。気になる記事から読み始めればよいと言われても、冒頭の、いかにも特集の目玉という記事に突撃(せずば元は取れまいと思って突撃)して、その世界の深淵さに溺れかけて避難する。その結果、(きっとあるであろう)本当に私が読むべき記事までたどり着けずに、雑誌は書棚にしまわれる。そういうわけで、本作も全然通読・読了出来ていないのであしからず。

 本来であれば読み切ったところできちんと記録にすべきなのだけれど、上に述べた通り本が読めていない(故に紹介すべき、あるいは、私が紹介できそうな本に出会えていない)現状も踏まえ、以下に各論として、ひとまず読み進めた部分についておすすめ記事を紹介するのである。

●各論

中原中也が描く「食語り」 遠藤雅司(音食紀行) 中原中也の作品に描かれる食に関する描写に着目した記事。『在りし日の歌』の「月」という詩には「今宵月は茗荷を食ひ過ぎている」という一節が出てくるそう、意味はよくわからない。けれど、面白いと思ふ。こうした、作品のこの部分に着目したら、という視点で読むということも参考としたい。

読書会『山羊の歌』 編集の田中佳祐、竹田信弥(双子のライオン堂)他による読書会の書き起こし。読書会なので、わからないところはわからないと言ってくれるのがありがたい。どんな名作でも人によってわかったりわからなかったりする、どんな読書家でもわからない作品はある。そうした事実は、読書や文学の敷居を下げてくれて、読む、あるいは、読まない勇気を与えてくれる。

あずき二号 浅生鴨 大怪獣ものの特撮を私は観たことがない……、と思ったら「シン・ゴジラ」は観ている。ともあれ、子供時代に適切にゴジラやらモスラやらガメラやらに触れていないことは事実である。ついでに言えばウルトラマン仮面ライダーも観たことがない。戦隊ものは「忍者戦隊カクレンジャー」のみ拝見した(歳がバレる)。本作はおそらくそうした大怪獣ものの怪獣がサバ猫のあずきであったら? という設定の短編である(多分、何しろ私は大怪獣ものをよく知らないので、そのパロディというのが、今一つぴんとこない)。しかし閣僚たちが猫に右往左往させられる様子は興味深く、猫は可愛い。

ジオラマ 友田とん 主人公の男の元へ宅配便で巨大なジオラマが届く。主人公はそのジオラマのサービス契約を結ぶことになってしまい……。ジオラマとは何なのだろうか? ジオラマジオラマのようで、主人公の住む現実の世界と繋がっているようでもある。短いが切れ味鋭く印象を刻む作品。

(6月29日追記)
名古屋の読書喫茶 山中麻未 拙宅の近くの読書喫茶(ブックカフェ?)を調べると殆が大手書店チェーンと珈琲ショップチェーンのコラボでそういうんじゃないんだよなぁ、と思う。聴覚が過敏という点はよくわかって……、私も読書や作業していて周囲の人の声が気になってしまうことはよくあります。そういう体質なのでしょう。

■ちょっと関連

philosophie.hatenablog.com