哲学講義

仇櫻堂日乗

【まえがき】会社勤めの傍ら、趣味で文章を書いています。私の日常での出来事や考えたことに加えて、読んだ本、鑑賞した美術などの展示、コンサートや能楽公演の感想、それに小説などの作文を載せます。PC表示ですとサイドバーに、スマホ表示ですと、おそらくフッターに、検索窓やカテゴリー一覧(目次)が表示されますので、そちらからご関心のある記事を読んでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

映画等のこと⑬2022年4月~2022年9月までの連ドラたち

■映画等のこと⑬2022年4月~2022年9月までの連ドラたち

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LAITIER(東京都渋谷区)


 最近(2022年4月~2022年9月頃に放送終了した作品)もたくさんの連続ドラマを見た。視聴したのは、「ちむどんどん」(NHK・主演:黒島結菜)「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜」(日本テレビ・主演:ディーンフジオカ・岸井ゆきの)「初恋の悪魔」(日本テレビ・主演:林遣都・仲野太賀)「マイファミリー」(TBS・主演:二宮和也)「インビジブル」(TBS・主演:高橋一生柴咲コウ)「ユニコーンに乗って」(TBS・主演:永野芽郁西島秀俊)「オールドルーキー」(TBS・主演:綾野剛)「特捜9 season5」(テレビ朝日・主演:井ノ原快彦)「石子と羽男 ―そんなコトで訴えます?―」(テレビ朝日・主演:有村架純中村倫也)「元彼の遺言状」(フジテレビ・主演:綾瀬はるか大泉洋)「競争の番人」(フジテレビ・主演:坂口健太郎・杏)。以上の中から印象深い作品を紹介していく。

初恋の悪魔日本テレビ・主演:林遣都・仲野太賀)

 脚本・坂元裕二「初恋の悪魔」、という字面から、私は想像できなかったのだけれど、ミステリである。ホームページを見ると、ミステリアスコメディ等と形容されている。ミステリであり、主要登場人物の四人がそろって警察署に勤めているのだけれど、いずれも捜査権がない。停職中の刑事・鹿浜鈴之介(しかはますずのすけ・林遣都)のもとに、総務課の馬淵悠日(まぶちはるひ・仲野太賀)、生活安全課の摘木星砂(つみきせすな・松岡茉優)、会計課の小鳥琉夏(ことりるか・柄本佑)が集まってきて、自宅捜査会議を開いたりする。

 坂元裕二作品は「最高の離婚」(2013年1月10日 - 3月18日、フジテレビ・主演:瑛太)「問題のあるレストラン」(2015年1月15日 - 3月19日、フジテレビ・主演:真木よう子)「カルテット」(2017年1月17日 - 3月21日、TBS・主演:松たか子)「anone」(2018年1月10日 - 3月21日、日本テレビ・主演:広瀬すず)「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年4月13日 - 6月15日、関西テレビ・主演:松たか子)と見ている。どれもへんてこりんな設定と、複雑だけどテンポの良いセリフ回しが面白い。

 本作ではその捜査権のない警察署員が集まって何かしているという設定はもちろん、摘木星砂がいわゆる二重人格であるという点がよかった。演じた松岡茉優の演技力がすごい。おやじ臭くがさつだけれど人情深い人格と、女性的で繊細な性格と、瞬時に演じ分けているようで、どちらもリアルですごいな、と思う。二重人格のどちらが消えるとか、どちらが本体で、という話が出てくる。自転車に乗れるのに練習した記憶がない、もう一方のほうが練習したからで、向こうが本体で、等々。私は実際に多重人格の方にあったことがないし、そうした方の実態を何も知らないので何とも言えない。けれどある人格にとって、自分が本体でないとか、消えてしまう、ということは悲しいことであるし、私は自分のことを多重人格ではないと思っているけれど、それでも誰といるか、どういう立場の人と話しているかによって、まるで別人のようにふるまうことがある。ドラマを見て、そんなことを考えている。

競争の番人(フジテレビ・主演:坂口健太郎・杏)

 主演の坂口健太郎(小勝負勉)は北条泰時、同僚である小池栄子(桃園千代子)は北条政子、序盤の適役である山本耕史(天沢雲海)は三浦義村、何のことかといえば同時期に放映中である大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」(NHK・主演:小栗旬)と座組がかぶっているのである。いずれも北条義時を支えて、おそらくドラマ最終盤まで活躍するキャラクターであるだけに、こうして同時期に民放の連ドラで主要キャストに名を連ねているということは、それだけ役者も人材が不足しているということなのだろうか。

 本作は公正取引員会という組織を描いたもの、中でも見たものを一瞬で記憶してしまう能力の持ち主である小勝負勉が中心である。実は同クールで放送されていたものに「石子と羽男 ―そんなコトで訴えます?―」があり、こちらでも中村倫也演じる羽根岡佳男は同様の記憶力の持ち主、という設定。そしてその代わりに?小勝負は協調性に欠けていたり、羽根岡はメンタルが弱かったりするのだけれど……、まあこうした能力があると物語が作りやすいのだろうなぁ、と思う。ただの凡庸な人間でなく、何かが優れている、何かが劣っている、という方が。でも、実はこの世界の人々の殆どは何も大して優れていないし、劣ってもいないのである。

●ちむどんどん(NHK・主演:黒島結菜

 私的朝ドランキングを以下の通りに更新する。

 おかえりモネ→エール→あさが来た→わろてんか→べっぴんさん→とと姉ちゃんひよっこちむどんどんなつぞらカムカムエブリバディまんぷく→スカーレット→半分、青い。おちょやん

 本作は、沖縄から出てきた女の子・比嘉暢子(黒島結菜)が、東京で料理人を目指す話。朝ドラでは毎週、何らかのトラブルやら事件が起きて、それがやたら深刻で主人公が可哀想になるもの(「あさが来た」「わろてんか」)と、ほんわかと程よいもの(「おかえりモネ」「エール」)と、あまりにもバカバカしいもの(「ちむどんどん」「半分、青い。」)とある。いわば物語の起承転結の転に当たるきっかけがこのトラブルなわけだが、本作のそれがなぜ問題なのか。それは事件の発端がほとんど主人公の兄である比嘉賢秀(竜星涼)ばかりだからである。そのワンパターンぶりに、あきさみよーとしか言えないのである。

 でも、沖縄の自然はとても良いのだ。