■ 北海道に行ったこと
つまるところ、私は北海道に行ったのだ。あーだこーだと言いながら、北海道に行ったという事実は消えない。私が何故北海道に行くことができたのかというと、それはエアドゥに予約して、お金を払ったからなのだけれど、そうではない。そうなのだけれどそうではないのである。
仕事が忙しかったこともあり、なかなか羽根を伸ばしてどこかに旅行に行こう、という気分になれずにいた。そうした思い切りができずにいたのである。しかし、今度は反対に仕事が忙しすぎで、少し逃げ出したくなった。その時に、興味のあったばんえい競馬のことを思いだしたのである。
旅行の手配をしたのは、「僕は何処にも行けない」を書いた日だから、9月29日である。旅行に行ったのが10月27・28日。その間およそ一か月。予約した当初は思い切りもあったが、実際楽しみでもあった。
ところがである。出発の一週間くらい前から、なんとなく帯広に行くことが憂鬱に感じ始めたと記憶している。「北海道に行くこと」にも書いた通り、慣れない飛行機移動に加え、住んでいる千葉県とまるで気候の違う土地への備え、現地ではバス移動が基本となることへの不安で、色々億劫になってきたのである。
ただし、27日にとかち帯広空港に降り立ってみると、そんな心配は杞憂に終わった。空港の出口に、帯広競馬場まで連れて行ってくれるバスが待ち構えていたし、三種類あるバスのどれに乗れば良いのかは、案内のおじさんが教えてくれた。良かった。安心感に包まれながら、初日のばんえい競馬観戦を楽しんだ。
問題は二日目である。「ずっと・北海道に行くこと」に書いた通り、バイキングを食べ過ぎてお腹がいっぱいであったことも理由の一つであるが、とにかく憂鬱であった。
多分、なんとなく北海道=大自然と思っていたのに、レンタサイクルを走らせた帯広市街にはその片鱗がなく、何なら千葉の郊外とそっくりだったこと。平日の昼間で出歩く人もまばらで、寂寥感があったこと。帰りの飛行機というか、空港までの連絡バスに乗り遅れないか不安であったこと。等々も理由にあげられる。
もう一つ、私は現実から離れたくて旅行をしたのに、滅多やたらにお世話になっている方にお土産を購入する癖があるため、それも気が休まらなかった。購入漏れはないか、送りそびれはないか、観光しながらお土産物売場を行ったり来たりするのに多くの時間を費やした。
冒頭に載せた写真は、帯広で有名なカレーのチェーン店インデアンまちなか店の外装である。夕方、ようやくお腹もすいて、お土産も買い終え、満足感とともに伺った。
美味しかったし、あとの課題は連絡バスに乗るのみと、解放感を抱いていた。
帯広駅前にバスの案内所があるため、そちらで空港への連絡バスの切符を求めて、せっかくなので駅ビルをふらふらして、ソフトクリームでも食べることにした、その時である。
一日かけて帯広市内を駆け回って六花亭本店やクランベリー本店で買い集めたお土産たちが、ほとんどその駅ビル内の支店で購入でき、なんならインデアンの支店も出店していることがわかった。
また少しだけ悲しくなった。