哲学講義

仇櫻堂日乗

【まえがき】会社勤めの傍ら、趣味で文章を書いています。私の日常での出来事や考えたことに加えて、読んだ本、鑑賞した美術などの展示、コンサートや能楽公演の感想、それに小説などの作文を載せます。PC表示ですとサイドバーに、スマホ表示ですと、おそらくフッターに、検索窓やカテゴリー一覧(目次)が表示されますので、そちらからご関心のある記事を読んでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

第六回ホースメッセのこと

■ 第六回ホースメッセのこと

 令和6年2月10日(土)から12日(月)までJRA馬事公苑にて開催中の第六回ホースメッセにお邪魔してきた。お目当ては認定NPO法人引退馬協会代表理事沼田恭子による無料トークショーナイスネイチャが残したもの そこからつながる引退馬の未来(出演:沼田恭子、聞き手:浅野晴典)である。

 

● 無料トークショーナイスネイチャが残したもの そこからつながる引退馬の未来」のこと

 登壇者の沼田恭子が代表理事を勤める認定NPO法人引退馬協会は、文字通り競馬を引退した馬たちの第二・第三の馬生に取り組む団体であり、千葉県香取市の乗馬俱楽部イグレットにて1997年に設立された「イグレット軽種馬フォスターペアレントの会」という、引退競走馬の里親制度が、その前身となっている。

 その後、特定非営利活動法人引退馬協会が設立されたのは2011年、沼田の話によると、ナイスネイチャ有馬記念という、年末の中山競馬場で催され、人気投票で出走馬が決まるJRA最大のオールスターレースで、三年連続三着という記録を残した)の半弟(異父弟のことをこう呼ぶ)で乗馬倶楽部イグレットに繋養されていたグラールストーンが没したまさに当日、法人設立の認可が下りたとのこと。その後2013年には認定NPO法人となっている。

 引退馬協会は一定の条件を満たした引退競走馬を譲り受け、預かり先を探し、里親となってくれる会員を募り、フォスターホースたちが亡くなるまで面倒を見る、という活動をしている。初期のフォスターホースたちの中で競走馬としての実績・人気・知名度が高かったのがナイスネイチャだ。2019年、ネイチャ二十九歳の時に始めたのがバースデードネーション。いわばネイチャへの誕生日プレゼントとして、協会への寄付を募った

 初年度は五〇万円を目標にしていたが、集まったのは二〇万円弱、支援者は四十八人だったという。状況が一変したのが2021年、三五〇〇万円を超える支援が集まった。設定した目標を初日であっさりと達成し、困惑したそう。支援拡大の要因は、同年2月にサービスを開始したスマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」とのこと。2023年4月のバースデードネーションには、二一,六二二人の支援者から七四〇〇万円を集めたネイチャは、同年5月30日、三十五歳でこの世を去った。

 ネイチャ逝去後もバースデードネーションを実施するのkは、未定とのこと。なお協会では2021年以降、想定以上に集まった支援について、支援対象馬を引退繁殖馬や地方競馬(NAR)の重賞勝ち馬に拡大し、また引退競走馬へのリトレーニング事業を行う等で有効活用しているとのこと。協会事業の詳細については、以下のリンク先にてご確認をいただきたい。

 

rha.or.jp

 さて、そんな沼田の話の中で、私の印象に残った話。競馬を引退した牝馬の四頭に一頭が繁殖に上がれているとしても、その繋養先の牧場でも馬房に限りがあるので、新たにやってきた繫殖牝馬の数だけそうした牧場から馬が消えているような気がする、というもの。

 引退競走馬の馬生を考えた時、どうしても短絡的に競走馬を引退した馬たちがまずどうなったかを考えがちであるけれど、その後繋養先でどのように過ごしているのか、用途変更となっていないのかの認識、つまり馬一頭一頭が天寿をまっとうするまでを把握することも大切だ。そうしたことを教えてくれる、トークショーであった。

 

● その他のこと

 さてホースメッセはそうしたトークショーや講演会以外にも、馬具等の販売、馬に関する絵画や立体の作品の紹介、ホースショー等実馬を用いたイベントを楽しむことができる。私が以前伺ったのは、横浜・赤レンガ倉庫での開催で、無料でホースショーが見れたり、ブース出展も狭い空間にぎゅっとまとまって、お祭りという印象だったのだけれど、今回はJRA馬事公苑での開催。最寄り駅からバスを使うか、歩くと小田急線からも東急田園都市線からも二十分かかるというアクセスの悪さ、ホースショー等がすべてインドアアリーナでの開催で有料のみとなったこと、ブース出展が空き馬房を用いたことで一ブースずつゆっくりは見れるのだけど広すぎて盛り上がりに欠けること、集中レジの行列等、イベントとしてはかつてのほうが楽しかったように思う。

 それでも、各ブース出展では趣向を凝らして団体をPRしていた。なかでも帯広競馬場ばんえい十勝)のばんえい競馬の出展は、輓馬のおっきな蹄鉄が展示されていたり、実物に近い大きさに空気で膨らませた輓馬がいたりと、普段見慣れたサラブレッドよりはるかに大きな輓馬の大きさを感じることができた。

banei-keiba.or.jp

 地方競馬教養センターの騎手候補生募集のブースでは木馬を用いた騎乗姿勢の体験をさせてもらったし、ジャパン・エクァイン・グッズのブースでは三トンまで測れる最高品質の馬体重計で私の体重を測ってもらった。ちゃんと八十キロと表示された。Bafun Yasai TCC CAFEのキッチンカーでは、馬糞で育てた野菜を使ったおでんをいただき、美味しかった。そんな、一日であった。

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