■2023年度 鳩森八幡神社例大祭 神輿連合渡御 のこと
フルーツパーラーゴトー(東京都台東区)
12種類のぶどうのパフェ。何がすごいって、我が家では大エースとされているシャインマスカットと、四番を任せているナガノパープルとが、リリーフや下位打線に入っている、他のぶどうを支える土台扱いである。しかし、それは本題ではない。
というのもだ、ゴトーの少し先にある、あだちやというお祭り用品屋で、鯉口シャツ、半だこ、地下足袋という、耳慣れない装束を求めた、私が言いたいのはそれだけである。
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それはなぜか。それは職場の近くにある鳩森八幡神社の例大祭で、神輿を担ぐためである。鳩森八幡神社は渋谷区千駄ヶ谷にある。常の年は町会内をぐるっと廻るだけなのだそうだけれど、三年に一度、同社氏子の八町会の神輿連合渡御が行われるそうで、気安く参加しに行ってから、今回はその三年に一度の方でとても長い、ということを知った。鳩森八幡神社前の千駄ヶ谷大通り商店街を抜け、代々木駅前の踏切を抜け、南新宿駅前の踏切を抜けたあたりの、こくみん共済のビルの前から、八町会がぞろぞろとスタートする。神社まで普通に歩けば二十五分ほどの道のりを、二時間近くかけて神輿を担ぐ。
神輿は重い。初めて神輿というものを担いだが、その当たり前の事実を担いで知った。木の担ぎ棒を足踏みをしながら、上下しながら、担いでいく。上下するので担いだ肩が痛い。担いでいる側の足はずっと力を入れていることになるので、担ぎ終えると力が入らなくなる。ついでに、担いだ側の手の指先が心なしか震えている。上下させないで、ゆっくりゆっくりと運べば楽なように思う。肩も傷めないのではないか。しかし、それではただの荷物運びである。神輿はただの荷物ではない。多分。多分というのはよく知らないということだけれど、きっと神様の乗り物で、それを町内練り歩くことで平素の安泰を祈願しているのだと思う。そう思うのだけれど、そんなこと考えてられないくらい肩が痛い。足も腕も腰も疲れるけれど、とにかく肩が痛い。
そんなこんなで休み休み進んで、神社に着くと連合渡御はお開きになる。次は常の年の町会を練歩く方が待っている。でもこちらの方が、要所要所で差し入れの素麺やらラーメンやらをいただいたりして楽しいし、何より歩き慣れた町会なので気楽である。とはいえ、肩は痛い。
神輿の上下に身体がピッタリついていないと、木の棒が肩にゴツンゴツンとぶつかることになる。傷害事件である。肩を入れて上から腕を引っ掛けて担ぐと良いのだそうだけれど、そんなこと言ったって担ぎ手に身長差があるので、神輿が高くなれば肩から離れて、次の瞬間に木の棒が肩に落ちてくるし、神輿が低ければ腰をかがめた妙な体制で担ぐことになる。
それでも多少コツが掴めて来ると、そしてうまい具合のポジションに担ぎ棒がハマってくれると、割合と楽である。そして、わっしょいわっしょいという掛け声をかける。大声を出すと、何がなんだかわからなくなって楽しい。わっしょいわっしょいの掛け声だけに従って、担いで歩いていく。わっしょいわっしょい、三十人程の担ぎ手が一体となりながら、声を出し神輿を担ぐ、わっしょいわっしょい、だんだんと、わっしょいわっしょい、自分の意識が、わっしょいわっしょいわっしょいわっしょい、薄れ、わっしょいわっしょいわっしょいわっしょいわっしょいわっしょい……。
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