■目指すは共存できる未来 アフリカマナティー保全プロジェクト
標題のプロジェクトは、マナティーの保全に取り組む一般社団法人マナティー研究所(代表理事:鳥巣 亜里沙)による、クラウドファンディングプロジェクトである。
マナティー研究所は、体の大きな水生ほ乳類マナティーをはじめ、生きものを大切に思う仲間たちが活動している学術団体です。マナティーやジュゴンの研究者、学校の先生、海外青年協力隊の経験者など、いろんな分野のメンバーが参加しています。 私たちは、アマゾンやアフリカなど、世界でマナティーの研究や保全をすすめています。そして、活動で得た知識や経験を生かして、知ること、考えること、伝えること、行動することにつながる環境教育プログラムを開発、実践しています。
マナティーについて、どれだけ知っているだろうか? 私はほとんど知らない。マナティー研究所の主催するイベントで時折お話を聞くだけである。はっきり言ってジュゴンとマナティーの区別も怪しい。
一番の違いは、マナティーの尾びれが丸い団扇のような形なのに対して、ジュゴンの尾びれはイルカのそれのように二叉に分かれている。またマナティーが水面の水草を、ジュゴンが海底の海草を主食とするため、ジュゴンの方が、口が下向きについている。ちなみに鳥羽水族館ではアフリカマナティーとジュゴンの両方に会えるのだとか。
ともあれ、そんなマナティーは絶滅の危機に瀕している、らしい。そんなことを言われても実感がわかないのは私も同じである。何より私はマナティーを生で見たこともないのだから。そもそも、マナティーは警戒心が強い生き物だそうで、アマゾンマナティー、アメリカマナティー、アフリカマナティーのうち、人懐っこいのはフロリダに住むアメリカマナティーくらいで、なかなか野生のマナティーに出会うのは難しいそう。
それでマナティー研究所では主にカメルーンのアフリカマナティーの保全に取り組んでいるとのこと。例えば、個体数が減る一因として地元の漁師の網にかかってしまうというものがあれば、マナティーの生態について知ってもらい、マナティーが引っかかってしまいそうな水域には網を張らないでもらう等、理解を得ることで、マナティーの混獲を減らしているそうなのだけれど、今はマナティーの生息する湖に外来の浮草が大量発生しており、マナティーの生活圏も奪われ、また漁師たちも漁ができないでいるとか。その浮草の駆除などに使われる資金調達を行っているのが本クラウドファンディングとのこと。
マナティーという種が失われたら取り戻せない、そして失われたときにどうなるかわからないというということは、マナティー研究所のイベントで聞いた話。マナティーに限らないと思うが、今回のクラウドファンディングで浮草の話題に触れ、障壁となっているのが一つの理由でないというのを知った。一つ問題が進展しても、また別の問題が浮上したりする。それでも臨機応変に対応していく必要があるのは相手にしているのが生き物であり、その土地の自然環境であり、そこに住む人々の生活だからであろう。そんなことを考えたりもする。