■ ぶ のこと
朝ドラ(NHKの連続テレビ小説)が好きだ。私的朝ドランキングは、現状以下の通りである。「おかえりモネ→エール→らんまん→あさが来た→わろてんか→べっぴんさん→とと姉ちゃん→舞いあがれ!→ひよっこ→ちむどんどん→なつぞら→カムカムエブリバディ→まんぷく→スカーレット→半分、青い。→おちょやん」となる。現在放送中の「ブギウギ」(NHK・主演:趣里)はわろてんか~とと姉ちゃん、あたりに入ってくると思う(まだ放映中のため決められない)。
本作はブギの女王と言われて「東京ブギウギ」等で知られる、歌手・笠木シヅ子を模した主人公福来スズ子を描く。ブギウギってなんだというところなのだけれど、調べるとスウィングやシャッフル等のリズムを用いた反復フレーズのことらしく、じゃあスウィングとシャッフルの違いって何だ、と思って調べたがよくわからないというか、同じものなのじゃないのという気もする。いずれにせよ、跳ねたリズムのことであると思う。それでリズムに乗せ、気分をあげるような音楽形式のことをブギウギと呼んでいるのだと思うのだけれど、ブギウギに(音が)似た言葉としてブリブリとかブヒブヒがある。
何の話だと思うと思うけれど、ブリブリは日本で大便を排せつする際の擬音として用いられる言葉である。同様に放屁の擬音としてブーというものがあり、大便を排せつする際思わず放屁というかブーというような音が出ることはあると思う。一方で、ブリブリにせよ何にせよ、大便を排せつする際に必ず音が出る人は少ないと思う。
またブヒブヒは、ぶたの鳴き声である。ブーブー等と形容されることもある。ブヒブヒとかブーブーとか、なんとなくその言葉を発するのに恥じらいを感じる方もいらっしゃると思う。ブリブリは言わずもがな。「ブギウギ」を観ながらそんなことを考えていて、何故日本語の「ぶ」にはなんとなく悪いイメージが付いているのだろうと、不思議に思った。ブリブリ、ブー、ブーブー、ブヒブヒ、考えてみたらブヒブヒと発するぶたもぶから始まる(このぶた野郎やめすぶた等の呼称を喜ぶ紳士淑女もおありと思うが、一般的にはあまり良いイメージの言葉ではない。もちろん、ぶたたちには何の罪もない。)、他にブサイクやブス等も。
ぶたの語源は何だろうと思って調べてみると、諸説あるようだが例えば以下のようなものがある。
ブタと言う名前の由来は判然としませんが、ブタの鳴き声のブーブーからきていると言う説が正しいようです。更に丸々と太った姿から「太い」が「ぶっとい」になって、「ぶっとい」が、ブタと言う名前に変化していったようです。(出展:畜産茨城平成25年9月号)
ぶっといも、使われるシーンによるだろうけれど、なんとなく嫌な響きの言葉だ(もちろん、ぶっといが喜ばれる場合も存在すると思う)。ブサイクは不細工、つまり細工の出来が悪いことが由来である。ではブスは何であろう。
ブスといえば……、一般に「容姿がおとること」……。ところが、昔は「無表情」という意味で使われていました。もともと「ブス」は、漢字で「附子」と書き、トリカブトの塊根を意味し……猛毒となるアルカロイドが含まれているため、少量なら神経を緩和させる効能がありますが、誤って口に含んだり、量を間違えると神経が麻痺してしまい、無表情になったり、最悪死に至ることもあります。このことから「無表情」を「附子」というようになったそうです。(出展:「ブス」という言葉は昔はぜんぜん違う意味だった。気になる「ブス」の語源とは? | 歴史・文化 - Japaaan)
という語源だそうである。他にぶ、ぶ、ぶ、と頭を巡らしていてブッダや仏教、という良い意味のものも思い浮かんだのだけれど、これは外国語由来であろうから除外。外国語由来だと他にブリリアントというのも頭に浮かんだ。「35億」のネタで一世を風靡した女芸人が両脇に従えていた with B がブリリアントという男性二人組の芸人(関係ないけれど女芸人とは言っても男芸人という表現はあまりしない)なのだけれど、その真ん中にいた彼女の名前がどうしても思い出せない。閑話休題。
ただ武士、武士道もあるな、ということに思い至り、他にも文化や文章、分担等、別に悪いイメージを持たない言葉はいくらでも思い浮かぶ。一方でぶのイメージを押し下げているのは不のような気がする。先ほど紹介した不細工に始まり、不器量、不格好、不男等。不器用であって評価されるのは高倉健くらいのものである。
あるいは無も、無粋や無愛想等。そもそも一般的に一文字だと「ふ」と読む「不」を、濁音をつけて「ぶ」と読むのは仕方ないとして、「無」一文字だと「む」の読みなのに、何故熟語になると「ぶ」と読むようになるのか。不足等の負(ふ)の意味合いを「ぶ」に押し付けようとする陰謀というか、黒い歴史があるのではないかと感じざるを得ない。
とすると「ぶ」に重荷を背負わせているのは誰だろう。もしかすると同じ村で生まれ育った「ぷ」が黒幕なのではないか、とにらんでいる。同じ放屁の擬音であっても「ぷー」となると、なんとなく可愛らしく感じてしまうのは、私だけであろうか。大便も「ぷりぷり」と排せつされると、なんとなくほっこりしてしまう。「ぷんぷん」もさとう珠緒がぶりっ子キャラとしてやっているくらい、なんとなく可愛らしさを纏う。「ふ」「ぶ」「ぷ」の中で圧倒的に「ぷ」だけが可愛いのである。そこんところ「ぶ」はもう少し考えて、「ぷ」とは少し距離を置く等、付き合い方考えた方がいいと思う。