■落語の話
落語を聞くようになったのは、大学に通っている頃であるから、10年くらい前であろう。きっかけは、もはやよく覚えていない。ただ、なんとなく近所の公民館で借りた落語のCDを、大学卒業後、新卒で入社した銀座の会社へ向かうのに、東西線に揺られながら聴いていた覚えだけがある。
その後、私は2年ほど、人間社会から遠ざかっていた時期があるのだが、その間に、生で落語を聴くことに目覚めたように思われる。そう、その2年の空白を経て、今の会社の入社試験の面接で、落語を聴くことが好きです、という話をした覚えがあるのだ。
三つ、記憶がある。
一つ目は、浅草演芸ホールに行ったこと。これは、寄席(ホール落語等ではなく、定席の寄席)と呼ばれるところに私が初めていったときのことであり、よく覚えているのだ。と言っても、それは初めての場所、自由席、開演中も飲食可能という寄席空間に、おどおどしている自分の姿を覚えているだけで、やたらんと朝早くから浅草に乗り込んでふらふらしていた記憶や、朝から開いていたマクドナルドの記憶や、昼の部が終わって、夕方、ラーメン屋さんの与ろゐ屋さんで夕食をとった記憶はあるのだが、どんな落語家が出演していたのか、とんと記憶にない。公演について覚えているのは、パックンマックンとサンドウィッチマンが出ていたこと。そう、この色物二組がゲスト出演している、なんとなく賑やかな日だったのである。というので調べてみたら、2014年10月16日の二代目の三平師がトリの日だった模様。うーん、思い出せない……。
- ジャンル:ラーメン
- 住所: 台東区浅草1-36-7
- このお店を含むブログを見る |
- (写真提供:ゆるもっぺ)
- 与ろゐ屋をぐるなびで見る | 浅草のラーメン・麺料理 その他をぐるなびで見る
二つ目は、茜浜ホールという、習志野市にあり、京葉線の新習志野駅にほど近い場所で行われていた、木戸銭500円の茜浜名人寄席なるもの。これは月に一度だったと思うのだけれど、真打、二ツ目、前座の三人が出演する。当時の私は、正しい社会のつまはじき者の意地で、できるだけ上京せず江戸川を渡らずがモットーであったため、県内で落語を生で聞けるところを、と考えてここに何度か足を運んだのだと思う。安いし良い公演だったとは思うのだが、当時総武線の津田沼にあった某施設に通っていた私が、路線バスに乗ってまで縁のない新習志野の地を目指したのは、ずいぶんご苦労なことをと思う次第である。
この寄席で、唯一名前を憶えているのが、春雨や雷太師(現:桂伸三師)である。いつの間にか、真打昇進してた。おめでとうございます。
最後に、三遊亭圓生師がなくなったことで有名な習志野文化ホール(奈良市の文化ホールではない)で、春風亭昇太師を観たことである。いや、独演会ではなくて、確か……、とよくよく考えたら、三遊亭小遊三師と柳家喬太郎師との、三人会であった。今考えると、夢の様な舞台である。私はここで、昇太師匠の時そばを聴いて、惚れたのであるから。小遊三師匠は、もちろん笑点で知っていたが、キョンキョンについてはまだ録に知らずに、事前に予習のつもりで聞いたCDが新作落語であまり入っていけず、この日の高座の印象もほとんど残っていないという、恐ろしい、もったいない話である。将来、鈴本の七中のチケットを、キョンキョン目当てにネット予約するようになるとは、まったく夢想だにしないころの話である。
これが調べたところ2014年の1月23日。つまり、話は逆で、おそらく、小遊三師匠見たさに行ったこの日の高座で生の落語を楽しむことを知った私は、何度か茜浜に足を運んだ後、今の勤め先に就職が決まってついに年貢の納め時との思いから、思い出作りに浅草の寄席に行った、というのが正しいように思われる。
そんな私であるが、この5年ほどは、国立演芸場が強いのだと思っていた。出演者は少ないけれど、その分、木戸銭は安い(定席は2,100円)し、指定席で自分の居場所が確保されている。しかし先日、末広亭を昼夜通しで観て、どう考えても、一日居座れて(昼夜入替なしのため8時間程度いられる、国立は一公演3時間程度)3,000円なら、そちらの方が得じゃん、と思った。いや、以前からうすうす気が付いてはいたのであるが、一回で3,000円を支払うことのハードルが大きく……。つまり国立はコンビニである。割高だが一人前をそれなりの値段で購入できる。一方、末広亭などその他多くの寄席は、業務用スーパーである。コストコである。大量のものを、一気に、安く仕入れることができるが、量が多い分、一度に必要な費用は大きくなってしまう。また、二ツ目専門の寄席として、神田連雀亭があるが、こちらのワンコイン寄席は二ツ目3人を500円のワンコインで楽しむことができる。お、安っ、と思ったのだが、これはこれで、3人で1時間なのだから、実は割高なのでは? 等々、気になったので、調べてみることにした、次第である。
■寄席のコスパのこと
つまり、こうである。ある寄席の定席の公演からランダムに一日を選ぶ。公演時間(演者の持ち時間)、演者の身分(真打、二ツ目、前座)は一切考慮しない、ジャンル(落語、漫才、奇術、等々)も無視する、ただその一度の入場で観られる人数(組数・Geinin)を数える。その人数で、入場料(大人一般・Kidosen)を割り、演者一人(一組)あたり単価(Kidosen Per Geinin)を算出する。このKPGが最も低い寄席こそ、私が行くべき寄席である。
●新宿末広亭
昼夜入替なしであるため、昼夜両方の人数を足してGを算出する。交代出演のところは1人と数える。前座は、番組に乗っていないので、無視しよう。ちなみにK=3000である。
G=18+16=34
K=3000
KPG=3000÷34=88.24
●国立演芸場
国立演芸場開場四十周年記念
7月中席
落語(日替)柳亭市童(13・15・18日)
柳亭市弥(11・19日昼)
柳亭市江(12・19夜・20日)
柳亭市楽(14・16・17日)
落語 台所おさん
奇術 伊藤夢葉
落語(日替)柳家さん福(11~15日)
柳家小三太(16~20日)
落語 桂南喬
―仲入り―
漫才 笑組
落語 橘家蔵之助
ものまね 江戸家小猫
落語 柳亭市馬
G=9
K=2100
KPG=2100÷9=233.33
●神田連雀亭
7月5日ワンコイン
G=3
K=500
KPG=166.66
https://ameblo.jp/renjaku-tei/l
●鈴本演芸場
関係ないけど、URLがrakugo.or.jpってすごい……。鈴本は昼夜入替制。
6月中席夜の部(17時開場)
落 語
┌金原亭 馬 太 郎 [11,12,13日出演]
│金原亭 小 駒 [16,18,19,20日出演]
└金原亭 馬 久 [14,15,17日出演]
太神楽曲芸 翁 家 社 中 [12,15,16日休演]
18:00
祝 二つ目昇進 春風亭きいち 改め
落 語 春風亭 㐂 い ち
落 語 入船亭 扇 遊 [12,15日休演]
漫 才 ┌すず風 にゃ ん 子
└すず風 金 魚 [14,18日休演]
落 語 桂 藤 兵 衛
19:00
落 語 柳 家 喬 太 郎 [14,16,18日休演]
19:20 お仲入り
粋 曲 柳 家 小 菊
落 語 春風亭 一 朝 [11,12日休演]
紙 切 り 林 家 楽 一
20:10
落 語 金原亭 馬 治
G=11
K=2800
KPG=254.55
●池袋演芸場
<最新の番組案内 2019/06/16> |
※昼夜入れ替えなし 【昼の部】12時開場 12時30分開演 12:30 落 語 昔昔亭 喜太郎 形態模写 好 田 タクト 13:00 落 語 柳 亭 芝 楽 落 語 昔昔亭 慎太郎 曲独楽 やなぎ 南 玉 落 語 瀧 川 鯉 朝 14:05 落 語 桂 歌 春 ―お仲入り― コント コントⅮ51 14:50 落 語 春風亭 愛 橋 落 語 柳 家 蝠 丸 紙きり 林 家 花 15:45 落 語 昔昔亭 桃太郎 【夜の部】16時45分開演 20時30分終演 16:45 落 語 立 川 幸之進 漫 才 ナ イ ツ 落 語 春風亭 傳 枝 17:30 落 語 三遊亭 圓 馬 奇 術 北 見 伸 落 語 立 川 談 幸 18:20 落 語 三遊亭 小遊三 ―お仲入り― 真打昇進披露口上 19:00 落 語 三遊亭 藍 馬 落 語 瀧 川 鯉 斗 落 語 瀧 川 鯉 昇 曲 芸 ボンボンブラザース 20:00 落 語 立 川 吉 幸 |
G=24
K=2500
KPG=104.17
●浅草演芸ホール
2019年7月30日
※出演者はやむを得ず変更になる場合もございますのでご了承ください。
昼の部
(11 時 40 分 ~ 16 時 30 分)
ー 11時40分~ ー
落 語 |
|
||||
---|---|---|---|---|---|
落 語 |
|
ー 12時00分~ ー
|
|||||
落 語 |
|
||||
落 語 |
|
||||
漫 才 |
|
ー 13時00分~ ー
落 語 |
|
||||
---|---|---|---|---|---|
落 語 |
|
||||
マジック |
|
||||
落 語 |
|
ー 14時00分~ ー
落 語 |
|
||
---|---|---|---|
ものまね |
|
||
落 語 |
|
||
落 語 |
|
ー 15時00分~ ー
|
|||||
落 語 |
|
||||
曲ごま |
|
||||
落 語 |
|
||||
落 語 |
|
ー 16時00分~ ー
三味線漫談 |
|
||
---|---|---|---|
落 語 |
昼の部主任
|
夜の部
(16 時 40 分 ~ 21 時 00 分)
ー 16時40分~ ー
落 語 |
|
||||
---|---|---|---|---|---|
落 語 |
|
ー 17時00分~ ー
漫 才 |
|
||||
---|---|---|---|---|---|
落 語 |
|
||||
落 語 |
|
||||
曲 芸 |
|
ー 18時00分~ ー
落 語 |
|
||||
---|---|---|---|---|---|
落 語 |
|
||||
|
|||||
落 語 |
|
ー 19時00分~ ー
|
|||||
落 語 |
|
||||
落 語 |
|
||||
漫 才 |
|
||||
落 語 |
|
ー 20時00分~ ー
落 語 |
|
||
---|---|---|---|
粋 曲 |
|
||
落 語 |
夜の部主任
|
G=37
K=2800
KPG=75.68
●お江戸両国亭
7月8日円楽一門会
鳳月 楽天 良楽 巴 王楽 好の助 母心 兼好
G=8
K=1500
KPG=187.5
■まとめ
~KPG値順~
浅草演芸ホール 75.68
新宿末広亭 88.24
池袋演芸場 104.17
神田連雀亭 166.66
お江戸両国亭 187.5
国立演芸場 233.33
鈴本演芸場 254.55
まず、やはり昼夜入替なしの定席がぶっちぎる結果に、貧乏人は浅草か新宿に行きましょう。連雀亭に関しては、二ツ目しか出ないので、そこを考慮するとより割高とはいえますが、二ツ目でも良い噺家さんはいらっしゃいますからね、あくまで皆を平等な人間と考えると、真ん中くらいのプライシングです。そして国立、国の施設は安いという印象でしたが、ただ入場料が安いだけでやはり割高、そしてそれより強気な値段設定をしているのが、上野鈴本。URLは落語だし、芸協締め出してるし、とにかく強気。鈴本演芸場の様な男になろう、それが今日の結論です。