■ ペンギンの赤ちゃんのこと
ペンギンが好きだ。ペンギンは和名で人鳥と呼ばれている。『ペンギン皆兄弟』という曲もある通り、ペンギンはなんとなく人間に近い存在なのではないかと思っている。そもそものペンギンの語源は諸説あるが、15世紀後半から、太っちょの意とも、白い頭の意、とも言われるが、ともかく西洋世界において、オオウミガラスがペンギンと呼ばれており、その後18~19世紀ごろになり、大航海時代に今のペンギンが発見されて、彼らとオオウミガラスとの類似からペンギンと呼ばれ、後にオオウミガラスが絶滅してしまったため、今のペンギンが唯一のペンギンとなったようである。
日本は世界でも有数のペンギン大国であり、世界の飼育下のペンギンの実に4分の1は日本で飼われている。ペンギンというと、南極の氷の上で寒風に耐えながら卵を守っているイメージが強いが、種類によってはもっと北、赤道直下に住むものもおり、土の上に穴を掘って営巣する種も存在する。というかそんな寒いところにずっと留まっているペンギンのほうがまれである。
すみだ水族館にいる、マゼランペンギンたちもそういった、南極には住まないペンギンであり、彼らはチリやアルゼンチンの海岸近くの、森や砂地に巣を作って暮らしている。
朝からペンギンを眺めていたら、飼育員さんがせっせとペンギンの水槽の岩場を磨いており、話を聞くことができた。ペンギンたちは所かまわず、排せつをしてしまうので、毎朝丁寧に掃除をしないと、臭いが酷いのだそうだ。確かに野外に水槽のある水族館や動物園と異なり、すみだ水族館は完全に屋内の水族館である。もちろん換気もしているのだろうが、ペンギンに限らず、水槽を清潔に保たないと、臭いは大変なことになるだろう。アロマを焚いたりと、色々な工夫で非常にクリーンで居心地の良い水族館、という印象であったが、やはりこういった飼育員さんたちのたゆまぬ努力があってこその空間なのだな、と感心した次第である。その飼育員さんに一羽のペンギンが近づいて、くちばしでちょっかいを出していた。聞けば0歳のわっしょい君だそうで遊んでいるのだそうだ。かわいいな、と思う。
私はお客さんにエンターテイメントを提供する会社で働いているが、お客さんはその商品を求めてやってくるだけではないのかもしれない。少なくとも私はすみだ水族館に、ただペンギンを見たいから行くだけではなく、そこでの従業員との会話や、空間全体の居心地の良さを求めて訪れている。そういったトータルでの魅力づくり、素敵な場所、時間を提供するという意識、そういった意識を持ちながら働きたいな、と思う。
とはいえ、
働きたくないでござる。