哲学講義

仇櫻堂日乗

【まえがき】会社勤めの傍ら、趣味で文章を書いています。私の日常での出来事や考えたことに加えて、読んだ本、鑑賞した美術などの展示、コンサートや能楽公演の感想、それに小説などの作文を載せます。PC表示ですとサイドバーに、スマホ表示ですと、おそらくフッターに、検索窓やカテゴリー一覧(目次)が表示されますので、そちらからご関心のある記事を読んでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

2023年6月の徒然なること

■2023年6月の徒然なること

 このところ本当に多忙です。職場にいない時間に仕事をし続けても、時間が足りていないという状況です。私が誤っていることは絶対にありえないので、1日が24時間という世界設定の方が間違っているのだと思います。生きる難易度が高すぎる。

●絵画等のこと13.02「癒しの動物絵画 -Healing Animal Paintings」@齋田記念館

 世田谷区代田にある美術館、齋田記念館にて7月22日(土)まで開催中の展示「齋田記念館 2023年 春季企画展 癒しの動物絵画 -Healing Animal Paintings / ブラタモリ放映記念《特集展示》齋田家の茶業」を拝見してきた。
 齋田記念館は幕末から明治期にかけて、茶業に取り組んだ齋田家の歴代当主による作品やゆかりの絵画、書等を収める美術館である。後者の特集展示では、2023年4月22日放送の「ブラタモリ」(NHK)の下北沢特集にて同館が取り上げられたことにちなみ、同家の茶業を振り返っている。茶の輸出や地域の茶業組合の様子がわかる明治期の史料が展示されており、大変興味深い。
 前者の企画展では、江戸期から現代までの間に、日本や中国にて描かれた動物がモチーフの絵画作品を展示している。渡邊省亭 筆「未」を見て山羊の絵かと思って、画題を見ると「未」とあり、なんだ羊かと思いつつ解説を読むと、十二支の「未」を日本だと羊とすることが多いけれど、本来中国では山羊のことだそうで、やはり珍しい山羊の絵であった。勉強になる。荻原侍経 筆「黒猫」には、黒々としていてなんとも可愛らしい猫さんが描かれている。また齋田家当主は代々自ら筆を執り絵画作品を残すほか、博物学等の書物から珍しい動植物の絵画を模写している。なんとなく現在放送中の連続テレビ小説「らんまん」(NHK・主演:神木隆之介)とも通ずるところがある。ともあれ、齋田家当主九代萬(1801-1858年)が雲岱(うんたい)の号にて描いている齋田雲岱 筆「スモル犬」(『獣部』)は安政4年(1857年)のものでプードルらしき犬が描かれている。江戸時代の日本人がプードルを知っていた、というのは、なんとも不思議な心持ちがする。狩野常信 筆「牛馬図」ウマイル。
 
●「2023年6月30日 さだまさし 50th Anniversary コンサートツアー2023 ~なつかしい未来~ 二夜 工務店ナイト @東京国際フォーラム ホールA」のこと

 歌手・さだまさしのデビュー50周年コンサートツアー。東京・大阪・名古屋で4日程ずつ開催されるステージは、4日間まったくばらばらの内容で一夜から四夜まで「グレープナイト」(50年目のグレープの二人で、懐かしい曲も新曲も!)「工務店ナイト」(ツアーバンド「さだ工務店」と楽しいステージ!)「管もナイト」(「さだ工務店」と管楽器で、きらびやかに!)「弦もナイト」(「さだ工務店」とストリングスで、バラードたっぷり!)として開催される。
 日程等により私がうかがえるのは二夜のみだったのだけれど、2023年6月30日(金)の東京国際フォーラム ホールAでのステージを、大変楽しんできた。この日披露されたトークは「バイト」。さだが高校の卒業旅行のため、同級生と鉄骨屋さんのバイトに申し込み働き始めた初日の様子を描いた噺。ビルの八階? に登り、足場に出て軽量鉄骨を命がけで運び込む様子を、全身を使って話してくださり、大変面白かった。また「雨やどり」「秋桜」に関して話してくださった、同曲の作曲や録音にまつわる話も大変面白かった。市川や亀戸にちなんだ話というもの、千葉県民にとっては嬉しいものである。
 さて肝心の曲もとても良かった。「長崎小夜曲」「破」で客席が立ち上がったときはどうなることかと思ったが、以降は落ち着いて席について楽しむ曲が多く安心した。(マスク越しではあるが)声を出した(レスポンスを求められた、)「関白宣言」「北の国から〜遥かなる大地より〜」「落日」は印象に残っている。そしてアンコールの「マイアミの歓喜もしくは開運」は最高に楽しい。良い夜であった。
 
能楽どうでしょう6.01「2023年7月1日 ハゲマス会 狂言実験劇場@新百合トウェンティワンホール」のこと

 新百合ヶ丘にて開催された、狂言方大蔵流の山本則俊を応援し狂言の楽しさを広める市民団体「ハゲマス会」の主催による「狂言実験劇場」を拝見してきた。
 出演は山本則俊とその息子の則重・則秀、孫の則光・則匡・則陽ら。則陽初披露となる小謡「盃」はじめ、則光・則匡の小舞は大変愛らしかった(狂言の謡や舞の一部だけを上演する形式)。また則俊・則重による小謡「御茶ノ水」では、則俊の重みのある謡を楽しんだ。
 中入りを挟んだ後半は、則重・則秀の息のあった狂言「千鳥」に続いて、則俊のお話、さらに事前に来場者から寄せられた質問に則俊・則重・則秀が答える交流のコーナー(この辺りが実験劇場たるゆえん)。則俊がご子息の「千鳥」について、親(自分)を越えているとおっしゃっていたのが印象的。則重、則秀は則俊から非常に厳しく稽古をつけられたそうで、一方孫には甘いと暴露。則俊のお人柄や一家の暖かさが伝わってくる、様々なエピソードが披露されて、とても素敵な会であった。後半の謡体験では、則俊の謡に続いて会場全体で小謡「盃」をお稽古。一曲終わると真っ先に手を叩いて会場を称えた則俊が印象的。これは、忘れられない思い出となった。
 

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